講演会&セミナー 2018年度

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セミナー記録

 

2018年 12月 20日 (木)13時10分ー 理学部3号館2階 セミナー室1・2

演者:野元 美佳 博士 (名古屋大学 遺伝子実験施設)
題目:植物ホルモンであるサリチル酸とジャスモン酸シグナルのクロストーク制御機構の解明

2018年 12月 19日 (水)16時20分ー18時 理学部3号館11番教室

演者:河島 友和 Associate Professor (ケンタッキー大学 Plant & Soil Science)
題目:Cellular dynamics in the coenocytic endosperm and its role in subsequent seed development (多核期の胚乳における細胞動態の変化とその種子形成における役割)

Flowering plants perform a double fertilization that results in the formation of the embryo and endosperm in a seed. The endosperm in many plants, including Arabidopsis, initiates its development with nuclear divisions without cytokinesis, generating a multinuclear coenocyte. After several rounds of nuclear division, the endosperm undergoes cellularization; however, it still remains largely unknown what cellular dynamics take place in the endosperm from the initiation of the coenocyte to cellularization. Using time-lapse live-cell confocal microscopy, we found that F-actin plays an important role in coenocytic endosperm development. Manipulations of F-actin dynamics altered the final seed size in these lines. I will discuss how F-actin controls cellular dynamics in the coenocytic endosperm and affects subsequent seed development.

河島先生は筑波大学をご卒業後、UCLAで学位を取得、シンガポール、オーストリアでのポスドクを経て、2016年よりケンタッキー大学でラボを主催しています。セミナーでは、シロイヌナズナの受精直後の胚珠内の細胞動態について、タイムラプス動画などを含めて、紹介いただきます。セミナーは英語で行われます。ご参加よろしくお願いします。

2018年 12月 17日 (月)16時20分ー17時50分 理学部3号館11番教室

演者:Prof. Youngsook Lee (Division of Integrative Bioscience and Biotechnology, POSTECH, South Korea)
題目:Plant ABC TRANSPORTERS: their diverse functions and evolution

埼玉大学の頭脳循環プログラムでPOSTECHのYoungsook Lee先生が来学されますので、先生のご専門であるABCトランスポータについてセミナーをお願いしました。Lee先生は長年の研究成果が認められ、12 月14日に韓国大統領賞を受賞されました。皆様ふるってご参加下さい。

ABC transporters are evolutionarily old proteins which exist in all living organisms, and are particularly enriched in terrestrial plants. My lab is focused on studying ABC transporters in Arabidopsis, rice and Chlamydomonas. We found that plant ABC transporters transport diverse compounds including hormones (ABA, cytokinin), fatty acids, hydrophobic coating materials, toxic metals, and secondary metabolites. Some of them are highly specific for substrates, others are not. Some of them exhibit transport activity in heterologous systems, but others do not. Some of the ABC genes multiplied extensively in the genome, but others did not. Thus, more studies are necessary to fully understand their function and evolution. I will review some important physiological functions they carry out, present our idea on their evolution, and a new member of this family which has a unique structure and a very important function.

2018年 12月 6日 (木)16時30分ー18時 理学部3号館11番教室

演者:高橋 朋子 博士 (東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
題目:小さなRNAが制御するヒトのウイルスに対する生体防御機構

ヒトの生体内にはmicroRNAという長さ20数塩基の小分子ノンコーディングRNAが存在し、RNAサイレンシングと呼ばれる転写後遺伝子抑制機構によって広く多様な遺伝子機能を制御している。ヒトにおいてはすでに約2000種類のmicroRNAが同定されており、一つのmicroRNAの欠損が癌などの重篤な疾患を引き起こすことから、遺伝子発現ネットワークの制御において非常に重要な機能をもつと考えられる。 一方、細菌やウイルスが細胞に感染すると、生体は免疫応答という防御機構を引き起こす。免疫応答には、自然免疫応答と獲得免疫応答があるが、自然免疫応答は免疫応答の初動で重要な役割を果たす即時対応型のシステムであり、サイトカインの誘導を伴う。ヒト細胞にウイルスが感染すると、ウイルスセンサータンパク質がウイルス特有の構成成分を認識し、I型インターフェロンを誘導して細胞を防御する。我々は、ウイルスセンサータンパク質でありながら機能が不明であったLGP2が、RNAサイレンシングの促進因子であるTRBPと相互作用することで、microRNAによる内在性の遺伝子発現ネットワークをゲノムワイドに制御し、ウイルス感染に対する生体防御機構として機能することを見出した。 本セミナーでは、ヒトにおけるmicroRNAにより誘導されるRNAサイレンシングと、ウイルスなどの外来RNAにより誘導される自然免疫応答の概略、更に我々が見出したこれら2つの経路のクロストーク機構について紹介し、議論したい。

高橋さんは分子生物学科の卒業生です(2009年3月卒業)。 合同セミナーを兼ねます。ふるってご参加下さい。

参考文献
Takahashi et al. (2018) LGP2 virus sensor regulates gene expression network mediated by TRBP-bound microRNAs. Nucleic Acids Res., 46, 9134-9147.
Takahashi et al. (2018) Virus sensor RIG-I represses RNA interference by interacting with TRBP through LGP2 in Mammalian cells. Genes, 9, 511.

2018年 11月 27日 (火)14時00分ー 理学部3号館2階 セミナー室1・2

演者:Dirk Spencer (Department of Biology, Stanford University, USA)
題目:Strategies for studying asymetric cell divisions in the stomatal lineage

アメリカのスタンフォード大学からお越しいただいたDirk Spencer氏は、豊田正嗣准教授がウィスコンシン大学(マディソン校)に在籍していた時に指導していた学生であり、現在Dominique Bergmann教授の研究室でPhD studentをしています。今回の公演では、植物の葉に存在する気孔(孔辺細胞)が、どのような仕組みで作られるのかをお話しいただきました。セミナーの後には、epigeneticsを専門とするMike Van氏 (Department of Biology, Stanford University, USA)も交えて細胞情報研究室のメンバーと親睦会を行いました。

2018年 9月 5日 (水)16時30分ー18時 理学部3号館11番教室

演者:木下 哲 教授 (横浜市立大学 木原生物学研究所)
題目:胚乳におけるエピジェネティックな生殖隔離機構

Dobzhansky-Mullerモデルに代表される種の障壁(生殖隔離)は、異なる集団に蓄積したDNA塩基配列の多型により引き起こされることが多い。一方で、近年エピジェネティックな制御による生殖隔離機構が浮かび上がってきている。これまでの研究から、哺乳動物と被子植物では、胚への栄養供給を担う胎盤や胚乳において母由来と父由来のゲノムに機能差があることが示されている。すなわち、母由来のゲノムは胚乳や胎盤を小さくするよう働き、父由来のゲノムはそれらを大きくするよう働くことが知られており、種間の交雑では父・母のバランスが異なるため生殖隔離が成立する場合がある。こうした受精後の生殖隔離は、父・母の由来に応じて遺伝子発現のオン・オフがエピジェネティックに決まるインプリント遺伝子が介在すると考えられているが、その詳細は明らかではない。我々の研究室では、単子葉植物のイネをモデルに胚乳における生殖隔離機構を紐解くことや、実際にモデルを考慮して種間の生殖隔離を打破することにより新種植物作成を試みている。また平行して、双子葉植物のシロイヌナズナをモデルにゲノムインプリンティングの制御機構、DNA脱メチル化の制御機構の研究を進めている。これらのアプローチから、DNAの遺伝情報以外にエピジェネティックな遺伝情報が生殖隔離に関与することの全容解明を目指し研究を進めている。今回のセミナーでは、これらを簡単に紹介したい。

2018年 8月 27日 (月)16時ー17時30分 理学部3号館11番教室

演者:宮田 真人 教授 (大阪市立大学大学院理学研究科)
題目:最小生物,マイコプラズマの滑走運動―メカニズムと起源―

魚病原性細菌であるマイコプラズマ・モービレは,菌体の片側に滑走の装置を形成し,固形物表面をすべるように動く‘滑走運動’を行います.この運動は毎秒4.5ミクロンにも達しますが,他の生体運動と根本的に異なるユニークなものです.私たちは1997年から現在までに,装置の構造,構成タンパク質,結合対象,エネルギー源,力学特性,などを明らかにし,そのメカニズムを提案しました.「ATP合成酵素に由来する特殊なモーターで発生した力が,外部表面に伝わる.その力は巨大な“クランク”タンパク質を介して,もうひとつの巨大な“あし”タンパク質450分子を動かし,宿主表面のシアル酸オリゴ糖を,つかみ,引っ張り,離すことにより,菌体を前に進める」セミナーでは,生体運動の起源と分布についての議論も行います.

参考文献
• Miyata M, Hamaguchi T (2016) Current Opinion in Microbiology. 29, 15-21.
• Miyata M, Hamaguchi T (2016) Frontiers in Microbiology 7, 960.
• Nakane D and Miyata M (2007) Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 104, 19518-23.
• Uenoyama A and Miyata M (2005) Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 102, 12754-8

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