研究グループ紹介

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  • タンパク質科学
  • 植物糖鎖生物学
  • 分子統御
  • 細胞生化学
  • 植物分子生理
  • 代謝学
  • 環境応答
  • 遺伝子発現制御
  • 細胞情報
  • 植物環境科学
  • 分子微生物学

タンパク質科学(教授 戸澤 譲、講師 松岡 聡)

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1.研究内容

セントラルドグマの最終ステップでは、メッセンジャーRNAの核酸配列をアミノ酸配列に翻訳してタンパク質が合成されます。生物では様々な構造と機能をもつタンパク質が複雑に関係し合って生命活動が成り立っています。当研究室では膜タンパク質など作ることが難しいタンパク質を中心に、生命現象におけるその機能を明らかにし、さらにその機能を応用研究につなげることを目指して研究を進めています。具体的な研究手法としては、試験管内転写・翻訳技術を駆使して合成したタンパク質の働きを分子レベルで解明し、さらにそのタンパク質の生体内での働きを調べるために、微生物や植物の遺伝子組換え実験を行ないます。

2.最近の研究テーマ

図1:試験管内タンパク質合成系は、open systemであるため、様々な改良を加えることができます。その一例が膜環境を加えることによる膜タンパク質の合成です。これまでに様々な膜輸送タンパク質や膜結合型酵素について、機能を持つ形でのタンパク質の合成に成功してきました。

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植物糖鎖生物学(教授 小竹 敬久)

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1.研究内容

ブドウ糖(グルコース)をはじめとする糖質は細胞、組織の構築材料やエネルギー源として機能していることが知られています。単糖が連なってできる高分子成分は糖鎖と呼ばれます。すべての細胞は糖鎖を含んだ細胞膜や細胞間物質に囲まれて生命活動を営んでおり、糖鎖は細胞の認識と相互作用に深く関わっています。糖鎖生物学 (Glycobiology)は、糖鎖の様々な生物情報を解明し、生物学の新しい知識として取り入れていく学問分野です。当研究室では、植物細胞壁多糖類の合成と分解、構造に関する生化学的な研究を進めています。

2.最近の研究テーマ

図1:細胞板に局在する植物のプロテオグリカン、AGP 図2:イネ節間(茎)の発達した二次細胞壁(教育学部・金子康子先生撮影)

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分子統御(教授 高橋 康弘、助教 藤城 貴史 )

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1.研究内容

全ての生物の増殖、複製などの生命活動は、DNA中の4種類の塩基の並び(塩基配列)でコード化された遺伝情報に基づいて行われます。この遺伝情報を実際に機能させるためには、必要な情報を抜き出す「転写」、そこからタンパク質等の機能性分子を合成する「翻訳」、に加えてタンパク質の「成熟」といった様々な過程が必要です。この過程が統合的に適切に制御されなければ、生命の営みは正しく行われません。分子統御研究室では、細菌のモデル生物である大腸菌と枯草菌を用いて、ストレス応答や生存に関わる遺伝情報の転写制御、タンパク質の機能発現に必要な鉄と硫黄の配位の分子機構、といった基本現象の解明を行っています。

2.最近の研究テーマ

図1:表層ストレス関わる因子を複数同時に破壊したことにより、野生株(左上)のように細胞の形態が一定ではなくなった。 図2:鉄硫黄クラスター生合成マシナリーの中心成分、IscUの結晶構造。非対称な三量体構造の中に生合成機構解明のヒントが潜んでいる。

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細胞生化学(講師 是枝 晋)

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1.研究内容

植物は地球上の様々な環境に適応して、効率の良い光合成のやり方を進化させてきました。その中でも当研究室では、低二酸化炭素濃度と高温に適応したC4光合成と、乾燥に適応した多肉植物型酸代謝(CAM)の仕組みを、細胞小器官のレベルで調べています。例えば、乾燥地域のCAM植物は、乾燥ストレスと同時に、常に直射日光の当たる強光ストレスにもさらされています。このような複合的ストレスに対しどのようにして耐性を得ているのか、特に葉緑体の光合成調節機構の面から明らかにしようとしています。また、葉緑体や液胞のような細胞小器官は、様々な代謝産物を細胞質とやりとりするために、それぞれの代謝産物に特異的な輸送体をもっています。C4植物やCAM植物の葉緑体や液胞は、C3植物とは異なった輸送活性をもっていることがわかっていますが、それらのうちいくつかは輸送体が分子レベルでは同定されていません。これらの輸送体を同定し、さらに、どのような仕組みで調節が行われているか明らかにすることを目指しています。

2.最近の研究テーマ

図1:アイスプラントは塩濃度が高いとC3光合成からCAMに切り替わる
図2:C4植物は2種類の光合成細胞を持つ C4植物・キビ(Panicum miliaceum)の葉を酵素で消化し得た2種類の光合成細胞(左:葉肉細胞、右維管束鞘細胞)。C4光合成はこれらの細胞の分担作業で成り立っており、それぞれの細胞の役割に応じて、持っている葉緑体の機能も異なる。

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植物分子生理(教授 西田 生郎)

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1.研究内容

すべての細胞生物は細胞膜やオルガネラ膜などの生体膜をつくるためにリン脂質が必要である。リン脂質は生体膜の形成に関与するだけでなく、生体膜のはたらきや動きにも関係し、情報伝達物質としても様々な生命現象に関わっている。当研究室では、モデル植物のシロイヌナズナを使って、リン脂質の生合成に関わる様々な遺伝子がどのような生理環境で発現し機能するのかについて研究している。一方、植物の凍結耐性のしくみを研究する過程で、原形質連絡という植物独自の構造体構築が効率のよい糖転流経路形成において重要であることも見出している。現在、原形質連絡形成のメカニズムの解明にも取り組んでいる。

2.最近の研究テーマ

図1:ホスファチジルエタノールアミン生合成変異株pect1-4は低温下で著しい成長阻害を受ける 図2:ホスファチジルセリン生合成変異株pss1の花粉は細胞死をおこす

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代謝学(教授 仲本 準)

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1.研究内容

タンパク質は合成され、細胞内の適切な場所に移動し、その役割を果たし、分解されます。このようなタンパク質の誕生から死に至るまで付き添って世話をするタンパク質が分子シャペロンです。細胞がストレスに曝されると、シャペロンは熱ショックタンパク質(HSP)として大量に合成されて、損傷を受けたタンパク質を修復します。分子シャペロンは生物界に普遍的に存在することから、生命誕生の初めから細胞にとって必須のものだったのではないかと想像されます。当研究室では、分子シャペロンの発現調節やシャペロン作用のメカニズムの研究を行っています。癌や神経変性疾患などの難病においても重要な役割を果たす分子シャペロンの機能調節は難病治療上重要ですが、私たちは分子シャペロンを調節する小分子化合物の研究も行っています。

2.最近の研究テーマ


図1

図2
図1及び2:分子シャペロン(small Hsp)と細胞の熱耐性
分子シャペロンを大量発現するシアノバクテリア変異株を遺伝子操作により作製した。大量発現株(ECT16-1)と対照株(ECT)を15分間、高温(50oC)処理をした。高発現株の高温耐性は著しく増大し、図のように細胞の変色が抑制され(図1)、その理由が細胞の色素タンパク質(Phycocyanin)の熱変性が抑制されたことによることが明らかになった(図2)。

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環境応答(教授 西山 佳孝、助教 高橋拓子)

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1.研究内容

光合成生物は、刻々と変動する環境のなかで生命活動を維持するために、さまざまな適応手段を発達させています。光が強いときや弱いとき、温度が上がったり下がったりするときに、その環境に合わせて光合成機能を最適化するとともに、環境変化によって生じるストレス傷害を回避する機構がはたらきます。そのために光合成生物は、環境の変化を検知し、その情報を伝達して、特定の遺伝子の発現を転写レベル、翻訳および翻訳後レベルで高度に制御しています。当研究室では、シアノバクテリアという光合成生物を用いて、環境応答に関わる遺伝子の発現調節のメカニズムや遺伝子産物の機能を研究しています。

2.最近の研究テーマ

図1:タンパク質合成系を構成する70Sリボソームと翻訳因子の一部。このうち翻訳因子EF-Gが活性酸素の標的となり、タンパク質合成や光合成の機能低下に結びつくことがわかった。

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遺伝子発現制御(教授 日原 由香子)

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1.研究内容

私たちは、光合成生物が環境変動をどのように感じ取っているのか、細胞内でどのようなシグナル伝達が行われているのか、その結果として遺伝子発現やタンパク質の活性がどのように調節されて光合成複合体や各種代謝反応の順化応答が実現されるのか、葉緑体の祖先生物であるシアノバクテリアを用いて、分子レベルでのメカニズム解明を目指しています。これまでに、環境応答に関わるさまざまな調節因子を同定しており、そのうちのいくつかは、光合成複合体の形成や糖・脂質などの代謝制御に重要な役割を担っていることが明らかになり、そこから有用物質生産を目指した代謝改変などの応用研究も展開しているところです。

2.最近の研究テーマ

図1:光化学系Ⅰ遺伝子群が弱光下で転写活性化され、強光下では発現抑制される制御メカニズム。転写因子とsRNAが二重に働くことにより、厳密な制御が可能となっている。 図2:シアノバクテリアの転写制御因子の一つを欠損した株(Δsll0822)では、野生株(WT)に比べて細胞サイズが著しく大きくなった(教育学部・金子康子先生撮影)。

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細胞情報(准教授 豊田 正嗣)

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1.研究内容

神経を持たない植物は、どのようにして自分が傷つけられたことを感受して、その情報を全身へ伝えるのでしょうか?内耳の耳石器官を持たない植物は、どのようにして重力を感じるのでしょうか?オジギソウは、なぜ触れると葉を瞬時に閉じるのでしょうか?  細胞情報研究室では、傷害・重力・接触といった”力”と”生物”の関係(メカノバイオロジー)を研究しています。植物が”力”を感受する瞬間を可視化するために、遠心顕微鏡・超高感度発光測定装置・広視野蛍光顕微鏡などの新しいイメージング技術を開発し、植物独自の高速情報伝達機構を明らかにしたいと考えています。

2.最近の研究テーマ

図1:試料を高速回転させながら細胞レベルの観察ができる遠心顕微鏡 (Toyota et al., Plant Journal 2013) 図2:植物の長距離・高速シグナルの可視化

 

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植物環境科学(教授 川合真紀、准教授 山口 雅利、助教 石川 寿樹)

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1.研究内容

近年、人類の活動による大規模な地球環境の破壊や、急激な人口増加による食料不足が大きな問題となっています。私達は、植物と環境との関わり合いを科学的に解明し、得られた知見を基に、不良環境でも生育可能な植物の分子育種や、高い二酸化炭素吸収能力を有する高バイオマス生産植物の育種へと結びつく基盤研究を行っています。例えば、植物の環境応答として、細胞膜脂質やオルガネラの機能を維持する分子機構の解明を行っています。また、植物に特異的なエネルギー、物質生産器官である葉緑体の代謝改変によって、強光ストレスに強く物質生産能力の優れた作物を開発するための基礎研究も進めています。他にも、植物の生長過程で働く転写因子に注目し、二次細胞壁形成の制御因子の機能解析を進めています。

2.最近の研究テーマ

図1:シロイヌナズナの遺伝子欠損株。葉緑体でNADPを合成するNADキナーゼが欠損すると、葉が黄化して光合成が異常になる。左が野生型、右が変異体。 図2:シロイヌナズナの花茎の横断切片。二次細胞壁を形成する道管要素(xy)や繊維細胞(if)が、赤く染色されている。  図3:代謝物網羅解析(メタボロミクス)。質量分析により、光合成や窒素同化、生体膜形成などに関わる多種多様な代謝産物を網羅的に定量解析できる。

 

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分子微生物学(准教授 大塚 裕一)

1.研究内容

地球上で最も豊富なウイルスであるバクテリオファージ(ファージ)は、食物連鎖の最下層に位置する細菌の密度に大きな影響を与えます。両者の攻防は30億年前から始まったと推定されており、細菌はファージ感染を回避するために外膜の形状を変化させたり、増殖を阻害するために制限酵素やCRISPR機構を獲得する等、さまざまな抗ファージ機構を発達させてきました。一方、ファージもこれらの機構に対抗するために新たな仕組みを常に獲得してきました。したがって、両者は共進化の過程にあり、各々の生存戦略が互いの進化を促進してきました。当研究室では、両者の生存戦略や遺伝子発現機構を分子レベルで理解すること、そしてその成果を病原性細菌や近年問題になっている薬剤耐性菌を抑える対策へ応用する研究に取り組みます。

2.最近の研究テーマ

図1:T4ファージのプラーク 図2:トキシン-アンチトキシン系をめぐる細菌とファージの攻防:トキシン-アンチトキシン系による抗ファージ作用(真ん中)と抗ファージ作用に対抗する様々なファージの仕組み(右側)

 

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植物機能制御(教授 高木 優、准教授 池田 美穂)

1.研究内容

植物が持つ様々な有用な機能をより効率的に利用するために、個々の遺伝子の機能を知ることが重要です。植物においては転写レベルの制御を行う転写因子が、多くの現象のキーレギュレーターとして機能しています。当研究グループでは、植物転写因子の研究の国際的基盤となっている重要技術「キメラリプレッサー遺伝子サイレンシングシステム(Chimeric Repressor gene Silencing Technology: CRES-T法)」を開発しました。CRES-T法に加えて様々な解析技術を駆使することで、多様な転写因子の機能を解析、各々の転写因子が制御する多様な植物現象のメカニズムを解明し、その学術的な知見を応用につなげることで、人間社会の発展に貢献することを目的としています。

2.最近の研究テーマ

図1:実験植物栽培室での作業の様子と培養中のトマト(右上)、栽培中のシロイヌナズナ(右下)
図2:顕微鏡観察室の様子と、撮影したシロイヌナズナの発達中の胚(右上)と根(右下)

 

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