大学生活

分子生物学科では、以下のような勉強をすることができます。

  1. 生命の元になる分子(DNA、RNA、タンパク質、脂質、糖質)の性質と働きを学ぶ。
  2. 生命の基本単位である細胞のつくりと働きについて学ぶ。
  3. 遺伝情報の発現と制御について学ぶ。
  4. 分子から見た生命像の普遍性について学び、その知識をもとに、より複雑な生命現象の解明に取り組む。
  5. 生き物の力を利用して、さまざまな問題解決の糸口を探る力を身につける。

では、実際にはどのように4年間を過ごすことになるのでしょうか? 分子生物学科の教育・研究の場である理学部3号館の中に入って見てみましょう。

理学部3号館は8階建ての建物です。この内、分子生物学科は主に2階から8階までを使用しています。2階には講義室や学科の事務室、3階には学生実習室、4階より上の階には、各研究室や、教員室、共通の機器室などがあります。

左の写真は、共通機器室に置かれている、研究設備の一例です。蛍光で目印をつけた分子が、細胞内のどこに位置しているか分かる蛍光顕微鏡(左上)、塩基配列決定を行うDNAシーケンサー(右上)、無菌操作を行うクリーンベンチ(左下)、精密な重量測定により物質を同定することができる質量分析計(右下)などを駆使して、教員や学生達が、日々最先端の研究に取り組んでいます。

4年生になり卒業研究を始めれば、あなたもこの研究活動に加わることになりますが、今はちょっとお預け。2階の講義室へ行って、1年生がどのように過ごしているのかを見てみましょう。


1年生では語学や様々な教養教育科目を履修して、様々な分野の知識を身につけると同時に、分子生物学の基礎となる勉強をします。たとえば「分子生物学基礎」という授業では、分子生物学科の教員一人一人が週1回、90分ずつ担当して、それぞれの専門分野についての基礎的な知識から、現在取り組んでいるホットな研究課題までを、熱く語ります。

分子生物学の研究を行うためには、英語の読み書きが欠かせません(英語で書かれた論文を読んで情報を集め、自分の実験成果を英語の論文として発表するためです)。そのため、分子生物学科では、1年生のうちから、生物学の教科書を少しずつ英語で読み進める授業を行っています(写真)。この授業は1学年40人を10人ずつに分けた少人数で行われるため、先生とも親しくなり、クラスはアットホームな雰囲気です。


2年生になると、1年生のときに身につけた基礎的な知識をもとに、分子生物学と生化学についてさらに深く学びます。

さらに2年生から学生実習が始まります。3階にある広い学生実習室で、1学年約40人が、2人から4人で1班となり、週1回の実験を行います。生化学、生物学の基礎的な実験を通じて、実験器具の取り扱い、実験操作、レポートの書き方などを学んでいきます。


3年生の講義内容はさらに高度なものとなり、各教員が自分の専門分野の周辺を、深く掘り下げて解説します。写真は「遺伝情報発現」という講義の様子です。原核生物、真核生物の転写、翻訳、およびそれらの制御機構について詳しく学びます。


3年生の学生実習は、各研究室によってそれぞれ週2回ずつで10日間程度担当され、それぞれの研究テーマに関連の深い、分子生物学、生化学、遺伝学などの、専門的な実験技術の習得を目指すことになります。これまで3年間、講義で学んできた教科書的な知識を、関連実験を自らの手で行うことを通じて、生きた知識として身につけていくときでもあります。写真はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)の扱い方を学んでいるところです。分析したい試料を、高圧をかけてカラムに通し、成分毎に分離、検出する装置です。


4年生では、1年間かけて卒業研究に取り組みます。自分で所属する研究室、指導教員を選び、卒業研究テーマを与えられて、大学院生とともに毎日実験を行うことになります。3年生までは、常に数名のグループで実験を行ってきましたが、卒業研究では自分一人の力で実験を進めていかなくてはなりません。また、3年生までは、過去に行われたことがあり結果が予測できる実験を通じて、実験技術を学んできたわけですが、卒業研究では、それらの技術を駆使して、これまで誰も行ったことのない、結果の予測できない実験に取り組んでいくことになります。教員や、周囲の大学院生のアドバイスを受けながら、最先端の研究を発展させる方法を体得していきます。


各研究室ではたいてい週1回、全メンバーが集まって研究室セミナーを行います。ここでは、発表の当番が回ってきた学生が、実験の進行状況の報告、英語の論文の内容紹介などを行い、その後、その発表内容について、皆でディスカッションします。このようにして、いかに自分の研究成果を論理的に発表するかのプレゼンテーション技術を学び、また他人の研究を理解し、評価する力を身につけていきます。


4月から行ってきた卒業研究の成果は、2月の卒研発表会で発表し、さらに卒業論文としてまとめます。

また、興味深い結果が得られた場合には、その分野の専門家が全国から集まる学会の場で発表し、さらには専門誌に論文として公表している人もいます。写真は、植物学会において卒研生が発表を行っているところです。

以上見てきたように、分子生物学科の学生は4年間のうちに、生物学の基礎から分子生物学の最先端までを学び、次第に実験技術を身につけ、卒業研究においては、科学者としてどのように学問の形成に貢献できるのかを体験することになります。


ここで実際に、分子生物学科に在籍している4年生の話を聞いてみましょう。きっと皆さんが大学生活をイメージする上で参考になると思います。さあ、あなたも分子生物学科に入学して、生命の謎を解き明かすべく、私たちと一緒に研究を行ってみませんか?

M . H さん(女性)のコメント

こんにちは。ひどく拙い文章で恐縮ですが、参考になれば幸いです。

「分子生物学って何だろう?」
これは私が受験の際、最初に思ったことです。私だけに限らず、そう感じている人も多いのではないでしょうか?他に数多くの学科があれど、なかなか類を見ない学科です。

いざ、大学に入学して思ったこと、それは分子生物学が幅広い分野で使用されているということです。ということは、分子生物学を勉強すれば将来の選択肢が広いということですね。

入学当初、高校で生物学を選択していなかった私は、講義についていけるかとても不安だったのですが、そんな心配は無用でした。生物学の知識が全く必要ないということではありませんが、講義にきちんと出席していれば大丈夫です。分子生物学科は1学年40名程度で構成されており、先生方との距離が近いですから、自分が授業で理解できなかったところは、すぐ質問できますし、先生方も丁寧に教えて下さいます。

1年生、2年生は分子生物学だけに限らず、体育や語学、他の文系科目も勉強します。他の学部・学科の人達に混じって講義を受けます。実験はまだほんの少し。高校生と同じような生活ですが、大学のほうが工夫次第で自由ですし、やりたい勉強ができます。

3年生になると専門的な講義が多くなり、実験も増えます。1、2年生である程度の単位を取得していれば、時間的制約は非常に緩くなりますから、空いた時間は好きに使いましょう。

3年生も終盤になったころ、大多数の人は卒業研究(卒研といいます)を選択するので、各研究室を訪問し、自分が希望する研究室を決めます。今、分子生物学科には6つの研究室があり、生徒は卒研生として専任の先生方にそれぞれ配属されます。一人の先生に大体2-5名といったところでしょうか?

私は今、卒研生として代謝学研究室に所属しています。所属してまだほんの少ししか経っていませんが、3年生までの3年間よりもずっと充実した日々を送っています。先生、先輩方との距離が非常に近いことはお話しましたが、研究室に入るとそれをもっと実感できます。とても親身に指導して下さいますし、自分のテーマを持つことで、責任感、やりがいが出ます。ここまでアットホームな研究室生活が送れるのは滅多にないことだと思います。

分子生物学科の建物は綺麗ですし、設備も整っていますから、素敵な4年間を送れること請け合いです。高校生の皆さん、難しいことは考えず、分子生物学科においでませ。楽しい大学生生活を一緒に送りましょう。

最後になりますが、私が現在考えている「分子生物学とは何か?」について一言。
分子生物学とは ”生物を分子の構造と機能から理解すること” あくまで私の考えですが・・

最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました。

H . I さん(男性)のコメント

こんにちは。 ここでは、分子生物学科ってどんなところ? ということで、私が今まで学科で学んできたことや、研究室での生活について簡単に紹介したいと思います。

まず、1-2年生では、分子生物学の歴史背景や、研究を行う際に重要になる基礎的な考え方、実験の原理、手法を中心に学習してきました。分子生物学は生物のつくりや活動を様々な視点から解明しようとするものですが、その中心にあるのは、遺伝子や酵素(タンパク質)、糖、脂質などの生体内物質です。そのため、具体的には遺伝子の組み換えの方法や、糖、脂質の代謝と働き、酵素が関わる反応などを学習してきました。化学や物理に近い内容も含まれており、幅の広い知識を身につけることができます。私は生物以外の分野はあまり得意でなく、物理に関しては高校で習っていなかったので、難しいという印象を受けましたが、先生方がしっかりとサポートして下さったので、それほど抵抗なく学習を進めることができたと思います。

3年生では、先生方が専門としている分野についてより詳しく学びました。先生によって専門とする分野は様々で、生物の進化、遺伝子の転写制御、タンパク質、糖、脂質の性質、光合成、環境、などがあります。扱う生物も、植物、細菌、光合成微生物など種類が豊富で、色々な研究内容から自分の研究したいテーマを見つけるのにとても役立ったと思います。

また、2-3年生では学生実習があり、机上の学習だけでは理解しにくい実験手法、原理のイメージを実際に体験して学ぶことができました。各実習では、その分野の専門の先生が丁寧に教えて下さり、また各研究室の先輩方がティーチングアシスタントとして参加して下さるので、安心して実習に取り組むことができました。

続いて4年生になると、多くの人がいずれかの研究室に所属して自分の興味ある分野について研究を進めていくことになります。私が所属する研究室では、バクテリアを遺伝子中心に解析しており、新しい遺伝子の機能を調べたり、遺伝子の発現調節のしくみを解析したりしています。研究室での生活は、私の場合、平日は朝8時半から夜8時頃まで、研究室で実験や調べ物をしていて、土日は基本的に休みです。卒研生の生活は比較的自由で、用事があったり、疲れたりしているときは、早めに帰ったり、朝遅く来ることも可能ですが、大体の研究室が朝10時からというところが多く、終わりの時間は実験の区切りによって変わります。

ほとんどの研究室では、週に1-2回、研究室の全員が集まって行うセミナーがあり、内容もそれぞれですが、私の所属する研究室では、自分が興味を持った英語の論文を読み、その内容を紹介する、という形式で行っています。研究室で学習する際は、先生や先輩方が機器の使い方や、研究室での生活などについて丁寧に教えて下さるので、充実した研究生活ができると思います。勉強することが多かったり、生物を扱うということで、実験が難しくて大変なこともありますが、これまで充実した大学生活を送れたと思うので、この学科に入れて良かったと感じています。

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